2017.11.17 ブログ
運動会が終わり、ホッとしている私たち。子どもたちはというと、音楽に合わせて踊ったり、バトンを持って走ったり、子どもたちの運動会は続いているようです。
保育室では、選びの活動に取り組む子どもたちの姿があります。折り方の本を見ながら折り紙を折り進める子、じゅうたんを敷いて教具にむかう子、色鉛筆で丁寧に色塗りをする子、鉛筆でひらがなの練習をする子、毛糸を使って機織りをする子…と様々です。
その中に、切り紙をしている年中児Yちゃんがいました。切り紙とは、折り紙を折って、線を書き、はさみで切って広げるときれいな模様ができるというものです。Yちゃん、見本をみながら丁寧に折り紙を折っていき、鉛筆で線を書くとハサミで切り、ゆっくりと広げています。うまくいけば、1枚のきれいな模様になるのですが、Yちゃんの模様は、3枚に分かれていました。首を傾げるYちゃん。そして、再度挑戦。見本をよくみて進めますが、また同じ結果に。納得のいかない表情で見本とにらめっこ。「おりかたもあっとるし、せんもあっとるのに、なんでやろうか?」と、Yちゃんなりにうまくいかない原因を探っているようでした。一緒に手順を確認しながら進めてみると、折り方も線の書き方もYちゃんの言う通り、あっているようです。丁寧にはさみで切って、見事完成!これで納得終わりかと思いきや、Yちゃんは、広げた模様をもう1度折り畳むと、うまくいかなかった先ほどの模様と重ねて、「なんかわかった。」と一言。続けて、「はじめのやつは、せんをかくとき、こっちっかわにかきすぎたんやないやろうか、やけんうまくいかんかったきがするんよ」と結論を出したのでした。
Yちゃんの事例から、
・失敗してもいいんだよ
・うまくいかない時には、何らかの理由・原因があるよ
・それは何かを考えてみるといいよ
・諦めなければうまくいくよ
ということを教わりました。
『子どもは、自分の力でできるようになりたいと思っている』というモンテッソーリの教えにもあるように、大人が思う以上に、子どもたちは様々なことを考え、思いを巡らしながら生活をしているのだと新ためて気付くことができました。
先日、年長児と一緒にホットケーキ作りをした時のこと。私はそこで、とんだ失敗をしたのです。料理活動の際には、いつも、材料や作り方について一通り子どもたちに説明を行います。この日も、ホットケーキ作りの工程を、粉を量るところから順に、子どもたちに見せていきました。そして、フライパンを使って焼いている時のこと、なんと、裏返したホットケーキが真っ黒という事態に。気持ちが焦るあまり、火の調整を誤ったのでした。ひっくり返した時の子どもたちの表情、今でも思い出せます。その時、私の心の中ではいろいろな思いが駆け巡っていましたが、もう、子どもたちと一緒に笑うしかありませんでした。でも、その時です。「せんせい、ドンマイ!」とRくんが声を掛けてくれたのです。「せんせい、わたしのぶん、わけてあげるよ!」とSちゃんも。私は、子どもたちの優しさに救われました。そして、子どもたちも作業開始。例年であれば、数人の子どもが黒くしてしまうのですが、今年の子どもたち、誰ひとり焦がした子がいませんでした。すごい!!私の失敗から学んでくれたということでしょうか。そういう意味では、私はよいお手本になれたのかもしれません。
先ほどのYちゃんの事例のように、「うまくいかないことだってある」ということを知っているからこそ、相手の思いにも気付くことができるのではないでしょうか。それと同時に、自分が何か失敗をした時、「周囲の人に自分の思いを受け止め、共感してもらった」という事があったからこそ、その思いを周りの人にも返すことができるのだと思うのです。RくんとSちゃんの優しさは、自分たちの経験の中から出てきた言葉なのではないかと感じました。
“失敗は成功の基”と言いますが、子どもの失敗が失敗のままで終わるのか、それとも成功の基に繋がるのかどうかということは、実はその子どもの問題ではなくて、周囲にいる大人のかかわりが、とても大切なんだということを感じました。これからも、子どもたちの持っている力を信じて、子どもの心に寄り添うことのできるモンテッソーリ教師でありたいです。
愛和聖母幼稚園
廣瀬 淳子
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