2017.06.19 ブログ
当園は、市内中心部に位置し国道に面しています。近くにはスーパーや病院が立ち並び、決して自然を身近に感じる場所にありません。それでも園庭には春夏秋冬の季節を味わえるような木が植えられています。そこでは小さな生き物が生息しており、命の営みを観察することができるのです。
春の季節、新学期を迎えるころになると、子供たちは決して見逃しません。
「だんご虫見つけた!」
さっそく虫取りの始まりです。
ある日の朝です。新入児A君、登園時お母さんと離れられなくて大泣きです。先生の手に引かれたA君。その手のひらに先生がそっとだんご虫をのせました。大泣きしていたA君は泣くのをやめ、手のひらのダンゴ虫をじっと見つめています。A君はダンゴ虫が気に入ったようです。幼い子供の心に穏やかなひと時をくれただんご虫に、思わず感謝した一日でした。
5月に入りB君が見つけたのは、孵化したばかりの真っ黒の小さいテントウムシの幼虫。食欲旺盛な幼虫は、餌となるアブラムシがたくさん寄生している場所にいます。成虫になると、幼虫の頃のようには食べませんが、やはりアブラムシを餌とするので、アブラムシがいるところでさなぎになるようです。園庭にはテントウムシのお気に入りの木があるようです。
6月になり、数名の男児が園庭でテントウムシのさなぎを見つけました。そして羽化したばかりのテントウムシを目にしました。前羽に薄い黒の模様が浮き出ています。様子をじっと見ていた子どもに、
「触ってみる?」「うん。」
そおっと人差し指で触れました。
「やわらかい。」「くにゅくにゅしとる。」
子ども達はテントウムシを傷つけないよう気遣いながら、そのやわらかい体に触れたのでした。
そして同じ日に羽化する瞬間に出合えたのでした。
「テントウムシがうまれるよ!」
子ども達は初めての体験です。テントウムシの様子をじっと見つめています。やがて子ども達は
「がんばれ!がんばれ!」
と声援を送っていました。数分かけて殻を脱ぎ終えました。前羽はしわしわで縮んでいます。しばらくすると前羽がピンと伸びて、つやが出てきました。前羽の下から後ろ羽が見えてきたのです。前羽はうっすらと黒い模様になりました。この模様は幼稚園の降園時間頃には、とても鮮やかになっていました。
テントウムシの幼虫から羽化して、旅立つまで観察した子ども達は、テントウムシも一生懸命生きているんだなあ!と感じたに違いありません。私自身この小さな生き物を通して、
神秘的でかけがえのない命の大切さ、豊かさを味わったような気持になりました。
八幡浜聖母幼稚園
主任 魚海 ゆかり
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