2022.05.06 ロザリオ学園 ブログ
学びの原点 ~京都モンテッソーリ教師養成コース・深草子どもの家~
ここはおよそ60年前、日本で初めてモンテッソーリ教師の資格を取得した赤羽恵子先生によって設立されたもので、日本におけるモンテッソーリ教育の指導拠点として、これまで多くの人材を全国に輩出している。
ロザリオ学園の教師は、皆、就職後2年間このコースに通い、モンテッソーリ教師としての力を身につけ、資格取得に向けて学んでいる。
この4月、私も久しぶりに聴講生として授業に参加した。
竹藪を通り抜け、石畳を上がっていくと、新緑に包まれ、自然と一体化するように佇む子どもの家がある。いつ訪れてもこの場所に立つと一瞬で初心に返り、学ぶ者の気持ちになる。
この日は今年度初の授業で全国から数十名の受講生が集まっていた。
そして、講師の岡山眞理子先生からの、
「従来の教師(子を支配する者)から新しい教師(子を尊敬し援助できる者)になるために、どうあるべきかをこの2年間模索し続け、自分がどう変化するのか考えながら学んでください。」
とのメッセージで授業が始まった。
授業での学びのいくつかを紹介させていただく。
〇言葉で教え込もうとするのは、解らせようとすることになる。
実際に教師がやって見せてあげる事が大事。
〇子どもの目の動きはゆっくりなので、早くしないで子どもの目がついていける速さで見せる。その際、言葉と動き両方同時に情報が入ると子どもは解らないので、言葉は必要最小限にとどめる。
〇手の動きが言葉を語っているように、
伝えたい思い、ポイントが手に込められているような動きをする。
〇道具は、最小限しか動かさなくてよいように、
次の動きを予測して机の上に配置する。
等、これら、ひとつひとつに込められた子どもへの思い。
こうした講師の先生の言葉は、まさしく子どもの心の声の代弁者であるかのように聞こえた。同時にモンテッソーリ教育を学んだ私たちではあるが、毎日の生活の中で、これほどまでに、子供の側に立って考えられているだろうか。知らぬ間に自立を妨げていることがあったのではないか。と振り返りながら考えさせらせた。
大人は“子どものために”と言いながら、それが時に大人の都合であったり、実は子どもではなく大人が望むことであったりする。
子ども一人ひとりの人格をどんな時においても尊重し、それを本当に実践することは並大抵のことではなく、誰にでもたやすくできることではないだろう。
そこには忍耐と情熱、何より子どもへの深い愛情が必要だ。だからこそそれを実行された講師の先生の実感のこもった真実の言葉の一つ一つが心にしみわたり感動を覚えた。
そして新たな情熱を胸に、この学びを早く園に持ち帰り子どもたちに伝えたい、先生たちに伝えたい。と、ワクワクしながら京都を後にした。
私たちは、これから歩む道で時に迷い、壁にぶつかることもあるだろう。しかし、その道をいつも照らし続け、勇気と力を与えてくれるこの学びの原点があることを心より幸せに思うと共に、感謝の思いでいっぱいである。
海の星幼稚園
園長 上田礼子
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