2022.03.31 ロザリオ学園 ブログ
先日、当園の保護者の方より、次のようなお手紙をいただいた。
『言葉も絵もひらがなも発達がゆっくりでマイペースな5歳の娘です。
頭では、この子はこの子のペースでいいのだと思いながらも、他の子ができることができないと感じる焦り、不安が心の中で湧いてくることが何度あったかわかりません。
冬のある日、担任の先生から電話がかかってきました。
娘が前からやっていると言っていた機織りの話。
年中さんで1番初めにやりたいと始めたものの、最初は何度教えてもなかなかできなかったそう。
先生は言葉を濁されていましたが、親にはどういう状態か容易に想像がつきました。
あれよあれよという間に後から始めた他の子に追い抜かれ、先生も「まだ早かったかな」と何度も思ったそうです。
それでも、コツコツ機織りを続け、1か月ほど経った頃から急にでき始めて、またお友達たちを抜き返してもう完成するとのこと。
この娘の機織りの話は、私にとって
「子供は大人がやらせることはなかなか成長しない。
けれども、大人がその能力を否定せず子供がやりたいと思うことをやらせてあげれば自分で成長していけるのだ。」
ということを気付かされる大きな経験となりました。
そして、子供の伸びる瞬間はその子その子それぞれで、親はそれを信じて待つしかないのだなということを改めて感じさせられました。
機織りの完成まで、娘のペースを見守りながら付き添って、私にそれを気付かせてくださった先生には感謝しかありません。
後日、機織りが完成した日。
余程嬉しかったのか、娘は寝る時までそれを身に着けていました。 』
お子様の育ちの姿から学ばれたというお手紙をとても嬉しく拝見した。
大人は子どもに対し、つい早く出来るようになって欲しい。もっと上手になって欲しい。
早く早く。もっともっと。と望んでしまう。
しかし、実は子どもの方こそが、自分で出来るようになりたいと。心から願っているのだ。
そして、生まれながらに持っている発達のプログラムにそって、それぞれのスピードで、
それぞれの育ち方で、それぞれの能力を伸ばしている。
周りがどんなに急がせても、それは時計の針を外から無理やり動かすのと同じで、決して真の力とはならない。
では大人にできることは何だろう。
まずは子どもの力を信じること。
そして、子どもが今、心から願っていることを理解し、その思いに寄り添い、愛情をもって手伝い続けることではないだろうか。
これからも子どもの力を信じたい。
信じる姿勢を取り続ける者でありたい。
海の星幼稚園
園長 上田 礼子
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