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2025.02.19 ロザリオ学園 ブログ
2月、卒園を間近にしてある保護者の方から次のようなお手紙をいただきました。
園長先生へ
息子が入園してからあっという間に3年が経ちます。私は、海の星幼稚園に入園することができて良かったと思います。息子は生まれつき先天性難聴があります。生まれて検査してわかった時に、私は母親としてショックで、なんで息子なんだろうと思いました。幼稚園への入園も不安がありました。でも私の不安とは裏腹に息子はとても元気に毎日目をきらきらさせて園に通いました。
毎日元気に当園できたのも、当時の担任の先生、副担任の先生、園長先生方の理解と子どもたちを大人目線ではなく、対等に話をしてくれ、接し、歩み寄ってくれたからだと思います。難聴をハンディと考えず、これもこの子の個性だよと教えていただきました。
また、同じクラスや他のお友達に、少し先生のお手伝いの必要な子がいます。その子たちに対しても特別扱いせず、個性として接してくれているので、子どもたちに偏見や一緒に遊ぶのが嫌だといった感情がありません。お手伝いが必要なお友達に叩かれても、叩き返すこともなく、うまく遊ぼうが言えないからこうするの!って理解もしていました。だから、ハンディがある人に会っても偏見なく、スッと話しをすることができます。そういったところを見ると心が温かくなります。偏見の目があったのは親である私のほうでした。純粋な気持ちや言葉では学べないことを、子どもにたくさん教えてもらうことができました。子どもの育つスピードはそれぞれ違いますが、幼稚園ではその子に歩み寄ってくれる先生ばかりでとても感謝しています。
今年で卒業となってしまいますが、小学校でもここで学んだことを引き出せる手助けをこれからは私がしていきたいと思います。
ありがとうございました。
このお母様が書かれているように、子どもは皆、育ち方や育つスピードが違います。違うことが当たり前だし、その違いこそが一人ひとりの個性であり、良さや強みであったりもします。
大人はつい人と比べてしまったり、子どものマイナスな面にばかり目がいきがちですが、子ども達は縦割り保育の中で年上、年下の人、そして様々な特性のある人等、多様な人との関わりを通して“みんなちがってみんないい”が自然に自分のなかに根付いているように思います。そして、人(友だち)の良いところを認め、困っている時にはそっと手助けをし、自分と同じように他人を大切にしているように思います。この姿はまさしく人格者であり、大人は学ぶべきものがたくさんあります。
人格の土台となる幼児期にこうした力が培われた子どもが社会に巣立った時、社会はきっと、もっと優しいものになるだろうと思っています。
よく耳にする”多様性社会“や”みんなちがってみんないい“この言葉がただの理想ではなく事実として証明されているようにお手紙を拝見しながら感じ、喜びと同時に、純粋な気持ちで子どもの姿から学ばれるこのお母様の姿に敬服しました。
もう少しで園を巣立つ子どもたち。これからも一人ひとりの子どもが自分のペースで、自分らしく、自分の良さを生かしながら豊かな人生を歩んで欲しいと心より祈っています。
海の星幼稚園
園長 上田礼子
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