2023.08.11 海の星幼稚園 ブログ
海の星幼稚園では、
愛媛大学教育学部特別支援教育講師 吉松靖文先生に定期的にお越しいただき、
子どもの発達や家庭での育児の悩みについて、それぞれのお子さんにあった援助の仕方をご指導いただいております。
先日の巡回指導の様子をご紹介させていただきます。
その日、吉松先生はクラスを回り、まず子どもたちの生活の様子を観察されていました。
吉松先生が子どもたちに関わるとき、その空間は普段以上に穏やかな時間が流れます。まるで子どもたちの心の柔らかい部分に溶け込んでいくようです。
吉松先生は、距離感を確認しながらそっと折り紙をしている子どもの空間に入られました。
その子は出来上がった作品を嬉しそうに吉松先生に見せます。
吉松先生「すごいね!」
子「ここのところ、とんがっているよ!」
吉松先生「ここのところを、とんがらせて作ったんや!かっこいいね!」
と、子どもの言葉を復唱しながら褒め認めていきます。
その言葉を聞き、その子はさらに心を開き、穏やかな笑顔を浮かべていました。
吉松先生から返ってくる嬉しい言葉を求めるように、子どもたちが先生の周りに集まっていました。
午後からは、保護者の方・教師との面談を設け、家庭での悩み・困りごと等について助言を頂きました。
その中から一部を紹介させていただきます。
Q.文字が読めるようになったので、次は書けるようになってほしい。どうしたらよいか?
A.無理に“書かせる”ことはしないでください。大人もそうであるように、興味のないことはやりたくないし、それを“させられる”ことは苦痛です。大人は、やりたくないことでも頭を使うことができるが、子どもは、やりたくないことをさせられていると、頭を使わないため、記憶に残りにくいです。
Q. 会話の中で、受け答えをすることが難しく、悩んでいます。
A. 黙ってしまう、なかなか言葉にできないというのは、とても繊細であることの現れです。頭の中でよく考えているからこそ、時間がかかるんです。どうかその時間を邪魔せず待ってあげてください。どうしても難しい場合は大人が代弁してあげましょう。
Q. 手先の不器用さがありますが、改善する方法はありますか?
A. 手先の器用さは、“お手伝い・家事”の中で培っていけます。
特に“料理”がおすすめです。子どもとの料理は、“映えと味”を追求しましょう。簡単なものでいいです。【表現できる自信】をつけていきましょう。
Q. いけないことをしてしまったとき、どうやって声を掛けたらいいかわかりません。
A. 本人がしたらいいことを大人がしてあげてください。例えば「〇〇してごめんね」と代わりに謝ることで“こうすればいいんだな”と分かればいいんです。大人のそういう姿を見せることで理解しやすいです。
また、“嫌なことの振り返り・反省”に効果はありません。
①本人の気持ちを理解しようとすること
「〇〇したかったんだよね」
(本人が言えるようなら、はなしをきく)
②これからどうしたらいいか一緒に考える
③したらいい行動を大人がする
①~③の繰り返しです。
そして、普段から「嫌なこと・困ったことがあったら大人に教えてね」ということを伝えておいて、実行できたかどうか確認してあげてください。(おしえてくれてありがとう等)それができると、“マイナスなことも言ったほうが大切な人が安心してくれる”ということがわかります。それよりもまず、楽しかったことの話をたくさんできる工夫をしていきましょう。
今回も様々な相談に対して、一つ一つ丁寧にお答えいただきました。
吉松先生にご指導いただいた点を家庭や園で実践する中で、子どもたちの成長を日に日に感じられるようになりました。子どもたちにとって必要な援助は、一人ひとり異なります。子どもの気持ちを私たち大人が聞かせてもらい、その子の世界に入らせてもらうことが大切なのだと感じました。
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